BAR VERABO
ベラボーの仕事場
 無知な夢 / 夜のとばり /
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 ヘンテコなおじさんが現れたのは深夜1時を回ったアタリ、最初はただの酔っぱらいだと思ったのだが、何やらこいつもブツブツ、「そろそろ、こんな生活止めなくちゃなあ〜」「今、こんなだけど、昔は、行く店、行く店、引っ張りだこだったんだぜ、腕も良かった〜、泣かせる音出したら、右に出るもんなんか居やしない!泣かせののジョニ〜・・・なんて呼ばれたもんさ・・・」そんな絶頂期のある時、あの女に出会ったのさ、少し影のある、幸薄げな、カトリーヌ・ドヌーブ的な、キレイな女だった、
 ふたりで、だまって、タバコを吸い、水割り飲んで、何故か同じ曲を何度もリクエストしてさあ、それからさあ、夜明けのコーヒー飲んでさあ、口も聴かず、ダマ〜って、ず〜っと見つめ合って、、、
 女は、とある、ジャズバーのウェイトレスだった、俺はそいつのために、何曲書いて?、何曲演奏したか?まあ、飲み屋でよくある恋愛話しってえ、もんで、やっぱり、しばらくしてその女は、さっと、姿を消した、あれからウン十年か、、、俺は、夢を捨てて、捨てて、随分、捨て尽くしてきたが、このラッパだけは捨てきれなかった、